『伊勢物語』「芥川」 予習クイズ

「昔、男ありけり。」の「けり」の現代語訳として最も適切なものを選びなさい。

• ～ていた
• ～たそうだ
• ～た
• ～ただろう

Answer explanation

助動詞「けり」は、直接見聞きしたわけではない過去の事実や伝聞、また、初めて気づいた感動を込めた回想を表します。ここでは物語の定型的な語り出しであり、文末で過去の出来事を述べる際に用いられています。

「女のえ得まじかりける」の現代語訳として最も適切なものを選びなさい。

• 手に入れることができなかっただろう
• 手に入れることができそうになかった
• 手に入れてはいけないだろう
• 手に入れようとしなかった

Answer explanation

「え」は下に打ち消しの語を伴って「～できない」という不可能を表します。助動詞「まじ」は打ち消し推量や打ち消し意志、不可能な意味を持ち、ここでは「え」と呼応して「～できそうになかった」と訳されます。この表現から、女が男よりも相当に高貴な身分であったことが示唆されています。

「年を経てよばひわたりけるを」の「よばひわたる」の現代語訳として最も適切なものを選びなさい。

• 呼び続けてきた
• 訪ね歩いてきた
• 求婚し続けてきた
• 呼ばれて過ごしてきた

Answer explanation

「よばふ」は「求婚する」という意味の動詞です。「わたる」は動詞の下に付いて、時間的な継続を表します。したがって、「求婚し続けてきた」となります。

「からうじて盗み出でて」の「からうじて」の現代語訳として最も適切なものを選びなさい。

• やっとのことで
• 辛い思いをして
• 仕方なく
• 苦労して

Answer explanation

副詞「からうじて」は、「やっとのことで」「かろうじて」という意味を表します。

「いと暗きに来けり。」の「暗き」の品詞と活用形を選びなさい。

• 形容詞、連用形
• 形容詞、連体形
• 形容動詞、連用形
• 動詞、連体形

Answer explanation

「暗き」は、形容詞「暗し」（ク活用）の連体形です。体言を修飾する働きがあり、ここでは「暗きに（場所）」と、場所を表す言葉を修飾しています。

「芥川といふ川を率て行きければ」の「率て」の動詞の活用の種類を選びなさい。

• サ行変格活用
• ワ行上一段活用
• ラ行変格活用
• ハ行下二段活用

Answer explanation

動詞「率（ひきい）る」は、「連れる」という意味のワ行上一段活用に属します。古文の動詞の活用の中でも、特に覚えるべきものです。

「草の上に置きたりける露を、「かれは何ぞ。」となむ男に問ひける。」の「なむ」の文法的説明として最も適切なものを選びなさい。

• 係助詞、強調
• 終助詞、願望
• 助動詞、完了
• 助動詞、推量

Answer explanation

「なむ」は係助詞で、前の語句を強調する働きがあります。係り結びの法則により、文末の動詞や助動詞が連体形（ここでは「問ひける」の「ける」）になります。

「行く先多く、夜も更けにければ」の「多く」の現代語訳として最も適切なものを選びなさい。

• 多くて
• 遠く
• 長く
• 広く

Answer explanation

形容詞「多し」の連用形「多く」は、距離や道程に対して「遠く」という意味で用いられることがあります。ここでは「行く先は遠く」となります。

「鬼ある所とも知らで」の「知らで」の文法的説明として最も適切なものを選びなさい。

• ラ行四段活用動詞「知る」の未然形＋接続助詞「で」
• サ行変格活用動詞「す」の未然形＋助動詞「ず」の連用形
• ラ行四段活用動詞「知る」の連用形＋接続助詞「で」
• 動詞「知る」の連用形＋補助動詞

Answer explanation

「知らで」は、ラ行四段活用動詞「知る」の未然形「知ら」に、打ち消しの接続助詞「で」（～ないで、～なくて）が接続した形です。

「神さへいといみじう鳴り」の「さへ」の現代語訳として最も適切なものを選びなさい。

• ～さえ
• ～までも
• ～だけ
• ～とともに

Answer explanation

副助詞「さへ」は、他の事柄に加えて、さらにその上という意味を表します。現代語では「～までも」と訳されます。