スポーツクラブは運動するために行くところだ。しかし、私の母にとっては、それ以上の場所であった。
85歳になる母は、今、スポーツクラブに通っている。実は、母は半年前に転んで腕(うで)を骨折(こっせつ)し、それ以来すっかり元気をなくしてしまっていた。食欲(しょくよく)が落ち、体重も減った。骨折は3週間で治ったが、腕を動かす訓練(くんれん)のための病院へはあまり行きたがらなかった。
ところが、そんな母がある日、友達に誘(さそ)われて近くのスポーツクラブに通い始めた。すると、たった一ヶ月で全く違う人のように元気になったのだ。病院でもスポーツクラブでも、無理をせずにできるトレーニングを一人一人に考えてくれる。しかし、元気な若い人たちと同じ場所で運動したり、同じくらいの年の仲間と一緒に頑張ったりすることは、スポーツクラブだからできたのである。そして、それが母の生きる力を引き出してくれたのだろう。
スポーツクラブは運動するだけの場所ではない。それ以上の価値(かち)があるのだ。私は、今、母の通うスポーツクラブに心から感謝(かんしゃ)している。
Q : 母は元気をなくした原因(げんいん)は何か。